かんがえるにわとり

形になれば、いいなあ

いくさ

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"不退転" - 2016/3/11. <ガールズ&パンツァー リボンの武者>

(pixiv - 不退転 / ニコニコ静画 - 不退転 )

 

「ガールズ&パンツァー」にハマったのはつい最近なのだけど、その中でもスピンオフ作品の「リボンの武者」がすごくアツい。

この漫画がどんな内容なのかはこことかここにお願いするとして、それにしたってなんでこんなに(僕にとって)おもしれーんだと考えてみた。

 

以下続き 

 

本編と何が違うの

ガルパン」本編における戦車道は徹底して「スポーツ」...バレーやサッカーと同列としてのスポーツ...に割り切ったことで「戦争ではない」というスタンスを確立させてる。だからこそ「青春スポーツものの鉄板」として僕らは「ガルパン」を楽しめるし、ストーリーの王道としての「最弱からののし上がり」や「一発逆転」といった要素に心を震わせる事ができる。ガルパンはいいぞ」なんて言葉がもう一種のネタと化して久しい(?)けど、要は「王道は王道だから面白い」ということなのか。

・・・一方で、「リボンの武者」はまったくもってそんなことはない。ここで繰り広げられる「戦車戦(タンカスロン)」は情け無用、手加減無用の「殴り合い」であり「戦争」。「仲間とともに手をとって」とかではなく「ただひたすら敵を撃滅し、勝利する」という兎角泥臭い。そんな描写が伺えるのが2巻の「ムカデさんチーム 対 BC自由学園」なので、「え、タンカスロンってなんなの。戦車道と何が違うの」と言われたらここを読ませれば大体通じると思う。

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(「ガールズ&パンツァー:リボンの武者」 2巻 / 左からp40、p71、p51)

兵は詭道なり」の「詭道」とは「欺くこと」。作戦を凝らし、敵を欺き勝利をおさめる事。そこでしずかは悪天候による視界不良を鑑み、テケをBC自由側のルノーR35に偽装させる。戦車道なら文句を言われそうだがこれは「戦車戦」である。しずかが如何に真面目に戦に望んでいるかがよく分かるエピソードであり、試合後のBC自由を一括するところまで含めてとても好きなEp。

じゃあ何が面白いの

単刀直入に言えば「これが見たかった!」。というのもいくらスポーツとは言え、戦車は「戦闘兵器」には変わりなく、それは「戦争の道具」として生み出されてるからに他ない。「じゃあ弓道だって同じじゃねーか」ってのはわかるけど、弓矢で人を狙う競技はない。クレイショットもそうだけど、兵器を用いた競技において「対人戦」はかなり限定される。それがましてや戦車になろうものなら...。と、いうことで実は個人的には「ガルパン」本編には物足りなさを感じていた訳である。

そんなところに「我らがするのは戦車道に非ず、戦車"戦"也」とか言われたら飛びつくに決まってるじゃないですか。「泥まみれの殴り合いだヤッター!」みたいな歓喜上げてたら登場人物の殆どが目元真っ暗で目を光らせて笑ってんの。怖いわ。

タンカスロンで使用できる車輌が10t以下の軽戦車に限られるのも良い。出力と兵装が限られ(...るわけでもないけど)、何処までもイーブンラインにあってどうすれば敵を撃滅できるか。2巻の「ムカデさんチーム 対 BC自由学園」での「戦車偽装」、3巻の「プラウダ 対 ボンプル」での「釣り野伏」のような戦略は戦車道ではなかなかに見れないのではないだろうか。ヤイカ様が鼻水凍らせて雪に伏せてるんですよ。最高かよ。

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(「ガールズ&パンツァー:リボンの武者」 3巻 / p147)

プラウダのフラッグだけを狙うために自身(フラッグ)を雪の中に隠し、ただひたすら敵が油断する瞬間まで耐える。ヤイカ様には島津の血でも流れてるのだろうか?

リボンの武者

ヒロインの鶴姫しずかのぶっ飛び度が注目されるけど、しずか姫だけがぶっ飛んでるのかと言えば意外とそんなことはない。BC自由学園タンカスロンチームのリーダーは「アスパラガス」と名前からぶっ飛んでるし(個人的にはこれ罰ゲームのアダ名かと思える直球さではある:どうやらBC自由の元ネタに関わるシャルル・ド・ゴールのあだ名が「アスパラガス」のよう。)、ボンプル高校の「ヤイカ」は美人なのに顔が歪みまくるし、大洗女子の我らが西住みほなど「軍神」を通り越して完全に「鬼神」に見える。もしかして戦車乗りって短気どころかニトロメタンなのでは・・・?

「リボンの武者」には本編のキャラも存分に出てくるけど、基本的に噛ませ犬だった「アンツィオ高校」が所狭しと駆け巡り、「サンダース付属」のアリサが説明しようウーマンになったりと登場回数が多い。千代美ー!俺にもワイン出してくれー!

一方で「タンカスロン」が「戦車道」とは根本的に違うことも見て取れる。全国大会覇者の「プラウダ高校」も鉄血とも言えるヤイカの戦いの前には歯牙もなく、「勝つために何が必要か」のあり方すら異なるという点が非常に面白い。

それでもやっぱり

そんな「殴り合い戦車」を繰り広げる「タンカスロン」といえど、それに高じる選手はみんな楽しそうなのである。笑顔があふれる戦場である。笑顔は良いぞ(笑い方は問わず)。

ともすれば戦車道以上に大事なことが詰まってそうな感じもある。

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(「ガールズ&パンツァー:リボンの武者」 3巻 / 左からp62、p63)

ムカデさんチームとアヒルさんチームの戦いを見て「楽しそう」というみほも「タンカスロン」をやってみたいと思っているだろう。「戦争」をやってるとは言ったが、それは「スポーツ」の枠に収まった「戦争」だ。

 

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(「ガールズ&パンツァー:リボンの武者」 1巻 / p100)

サンダースの義勇タンカスロンチームに僅差で負けたにも関わらず満足気。これが「真剣に勝負を競う戦車戦」というなら、その愉しさや推して知るべし。

 

・・・つまるところ「命がかかった戦闘」のような緊張感があるからこそ、それが「戦車は本来こうなのだ」と言う認識で持って競うことができる。「ただ敵を、大将を斃す」という本能を剥き身にして殴り合えるからこそ、泥仕合だろうが偽計だろうがやりあう。それが「リボンの武者」であり、「ガルパン」本編にはない最高の魅力なのだ。

 

<引用>

野上武志/鈴木貴昭「ガールズ&パンツァー:リボンの武者 1」 MFコミックス ISBN 978-4-04-067268-7 

野上武志/鈴木貴昭「ガールズ&パンツァー:リボンの武者 2」 MFコミックス ISBN 978-4-04-067541-1

野上武志/鈴木貴昭「ガールズ&パンツァー:リボンの武者 3」 MFコミックス ISBN 978-4-04-067867-7