かんがえるにわとり

形になれば、いいなあ

Le Mans2015

さて、年に1度の自動車フェスティバルであるル・マン24時間耐久レースも終わったので、ちと雑感でも。

まずはポルシェ、80年台の耐久王者の貫禄を忘れさせない堂々たる疾走ぶり素晴らしかった。マシンの構造、特にパワートレインが時代に合致した合理的なパッケージ(2.0L V4ターボのダウンサイジングエンジン+最大放出エネルギー量である8MJの回生システム)は誰が見ても「強い」と思わしめるチョイス。特に「2.0L V4ターボ」が大きく、ここ数年で隆盛してきたダウンサイジング技術が一気に頂点に立ったのは非常にエポックメイキングじゃなかろうか? トヨタ(ヤマハ)の3S型エンジンも88年まではグループCを戦っていたけど、結局トルクや排気量その他諸々の関係で翌年V8に切り替わったこともあったことを踏まえてもコレはすごいことになったなぁ...。結局エンジンの軽量さで8MJのエネルギーを手に入れることができたんだから完全に思惑を理解したマシンになった。そりゃ勝てるよなって話。

アウディはそもそも信頼性が高かく、素の戦闘力も存分に余裕があった(そもそも24時間通してポルシェを追い回して首位に立てるだけの力はあった)わけで、トラブルも特になかったよね。でもちょっと運に見舞われてないのかも...。しかし4MJを選んだだけであそこまで速くなるとは...。来年は更に強くなって帰ってくる(ロッテラー談)とのことで、ますます目が離せないよね。

あ、個人的には来年のボディワークは、特にフロントはもう少し意匠に凝ったカッコいいデザインにして欲しいですよ...。

トヨタはおそらく予測が外れたんだと思う。マシンの仕上がりがよくても勝負へ追いつけないのではどうしようもない。とは言え(クラッシュこそあったものの)、レース通してノントラブルでイーブンペースで走り続けることが出来たのは「耐久レース」から考えると結構すごいことなのでは。その信頼性を保ったまま性能をぐんと伸ばすことができる余地があるだけ、来年のル・マンにまた期待が掛かるね。

日産はマシンが出た当初からずっと技術的な面(ボディワークやFFで戦うことの意味)の疑問と、あまりいい印象を持たないベン・ボウルビー氏へのあてつけでバカにしては来たけど、それもやっぱりマシンを見ればおおかた予想は出来たことである。なんだかんだと言われてるけど、勝負の土俵に立つ以上勝つか負けるかで、テストでデータ取りをしたいならガレージ56で出てるほうがずっと下馬評も穏やかだったんじゃないかとすら思える。そうはいえどもノウハウ0のマシンを24時間きちんと走りきらせたことは素晴らしいし、メカニックやドライバー達がそれに向けて努力を重ねてきたことは確かだから日産にとってもいい経験になったんじゃないかな。

日産はル・マンやプロトタイプが初めてではないし、国内レースを通してきて駆動方式の違いによる運動性能の向き不向きやそういうところのノウハウはしこたま持ってるはずである。僕が一番看過できなかったのはそういうノウハウをきちんと持っている日本のNISMOが車両開発に殆ど携われていなかったと言う点で(参考)、なんとか開発したエンジンはLMP2での実績を示すかのようにノントラブルでなおかつ最高速度も出していた。だからこそボウルビー氏がGT-Rの開発に日本NISMOを関わらせなかったのが疑問でならない。実際開発ストーリーを見ても外国人の名前ばかりが上がって日本人は居ない。日本の国旗を背負っているのに日本製の車じゃない感じが違和感として残ったんだよね。

Twitterでpostしてる分には、特に直近はル・マンの興奮に当てられて行き過ぎた表現もあったし(不快になった方は申し訳ない)、今見ると恥ずかしいことこの上ないけど、きちんと理由を持ってGT-Rを見ていたことだけはしっかり宣言しておかないと行けない気がする(

 

やっぱり日本勢が華々しく活躍して欲しいんですよ。来年は今年の体たらくを巻き返すマシンを持ってきて戦って欲しいっすね。